ゴミ出し困難な高齢者を救済?!
みなさまがお住いの都道府県・市区町村には、「ゴミ出し支援制度」はありますか??
まさに、たった今知りましたという方もいるのではないでしょうか。
今回は、ゴミ出しを自力で行うのが難しい人に対して、支援を実施する制度についてご紹介していきます。
●政府が高齢者のゴミ出し支援策を発表
2019年某日にて高市早苗総務相が会見で、要介護状態にあったり、障害を持っていたりするなどの理由で、ゴミ出しを自力で行うのが難しい人に対して、支援を実施するという総務省の方針を発表しました。
これは、前述のようなゴミ出しが困難な人を対象に、ゴミ出しの支援を行っている市区町村などの地方自治体に特別交付税をつけ、その費用の半分を国が負担するというものです。
現在、ゴミ出し支援を行っている自治体はすでにありますが、環境省の調査によると、2019年3月時点でその数は387と、全自治体の23.5%程度でした。
取り組む自治体が少ない背景には、財源不足の問題などが生じているため、今回の施策が打ち出されました。
総務省は、特別税の交付は、今年のゴミ出し支援にかかった経費分からを対象にし、2020年3月に実行するとしています。
また2020年からは、現在はゴミ出し支援を行っていない自治体に対して、ゴミ出しの支援事業を行うように呼びかけることも併せて発表されました。
今後、高齢社会が深刻化していくなかで、こうした支援の必要性はますます重要になっていくと考えられます。
そのため、この国からの特別税の交付をきっかけに、支援を実施する自治体が増えるのではないかと期待が高まっている状況です。
●高齢者の自宅までゴミを取りに来てくれる
ゴミ出し支援制度とは、自治体の職員やNPO法人、あるいはボランティアの地域住民などが、自力でのゴミ出しができない人の家を訪れ、ゴミ出しを代行するというものです。
自治体が行うゴミ出し支援に関しては、前述した通り、自治体全体の23.5%しか行っていない状況にあります。
さらに、この支援では地域格差が大きいことも問題になっています。
2015年のデータでは、政令指定都市では約8割が行っているのに対し、町村では1割弱にとどまっているのが現状です。
この地域格差が起きている大きな理由は、予算にあります。
規模の大きい自治体であれば潤沢にある予算を使うことで、こうした支援を行うことができますが、予算の少ない自治体は、ゴミ出し支援まで手を回す余裕がないというのが、理由のひとつです。
また、介護保険制度を活用し、ホームヘルパーに生活援助の一環としてゴミ出しを代行してもらうという選択肢もあり、これは全国どこでも利用が可能です。
しかし、実際にはゴミ出しの時間に合わせてヘルパーが来ることは難しく、さらに1回20分以上行う必要があると設定された生活援助のシステム上、ゴミ出しだけで呼ぶこともできないという問題があります。
なぜ高齢者のゴミ出し問題が起こっているか
●身体的理由でゴミが出せなくなる
前述したように高齢者がゴミ出しを行うことが難しくなる理由としては、加齢による筋力の低下や関節痛、あるいは腰痛やリウマチなどの持病により、運動能力が落ちることが挙げられます。
そのため、大きなゴミ袋を持って集積所まで行くことは、健康な若年層に比べるとはるかに難易度が高くなるのです。
こうした状況でゴミ出しの支援を受けられなかった場合、無理に自分でゴミ出しをすることで大きな負担となり、転倒や持病の悪化のリスクが上昇することも考えられ危険度も上がります。
さらに、それすらも不可能な状態になった場合は、ゴミ屋敷のような形になり、本人はもちろん、周囲の衛生環境にも影響を与えてしまう可能性も出てきます。
周囲の衛生環境が悪化すると、近隣住民とのトラブルも起こりかねません。
こうした問題を抱える高齢者は、増加の一途を辿っています。
高齢者自体の増加に加えて、核家族化などの影響で高齢単身世帯、高齢夫婦世帯の割合が増えていることも要因の一つです。
●精神的理由でゴミが出せなくなる
年齢を重ねると認知機能の低下などで覚えることが出来ずらくなったり、忘れてしまいやすくなってしまいます。
そのため認知機能に問題を抱えてしまうと、ゴミ出しの曜日や分別方法などのルールを守ることができなくなってしまう可能性が出てくるという問題もあります。
認知症の場合は、ルールにそったゴミ出しができなくなることにより、近隣住民とのトラブルを抱える可能性もあります。
また、発達障害や統合失調症などを抱えていると周囲とのコミュニケーションがうまく図れず、ゴミを出すこと以前に自宅に引きこもってしまいがちになってしまう場合もたくさんあります。
配偶者や家族との死別を経験後にセルフネグレクト(自己放棄)に陥ってしまいゴミ出しを行えなくなる原因にもなります。
●セルフネグレクトとは
自己放棄とも訳されるこのセルフネグレクトとは、生きるために必要な行為をするのに必要な意欲や能力を失い、日常生活に支障が出てしまう状態を指します。
ある研究所が行った調査によると、孤独死の80パーセントが、セルフネグレクトによるものであったとされているのです。
家族やペットとの死別以降、さらに自分の身の回りのことを自分できなくなってしまったという場合もあります。
例えば、ゴミ出しができないことで不潔な状況が増えることから、感覚が麻痺していきます。
それによってセルフネグレクトに陥ってしまい、結果としてゴミ屋敷ができてしまう…というような悪循環が起こることも十分あり得ることなのです。
しかし、そうした事実を把握している自治体は多くありません。
2010年に内閣府が行った調査によると、セルフネグレクトの対策として、高齢者の見守りネットワークを整備していると回答した自治体は、36.8%に留まっていたと言います。
自治体がこのセルフネグレクトの問題について十分に把握していないという現状も、ゴミ出し支援が普及していない原因になっていると考えられます。
●ゴミ出し支援のメリットと課題
高齢者に対してゴミ出し支援を行うことは、自治体に大きな変化をもたらします。
高齢者世帯の利便性向上、高齢者世帯の福祉の充実、高齢者からの確実なゴミ回収など多くの問題から高齢者を守ることで、高齢者世帯の利便性が格段に上がるということです。
また、ホームヘルパーなどを使ってゴミ出し代行を行わずに済むことにより、依頼した時間すべてを介護に充てることができます。
そのため、福祉を充実させることができ、高齢者以外の住民にとっても、大きなメリットとなります。
近隣の住宅がゴミ屋敷に陥るのを未然に防ぐことで、衛生環境の悪化を防げるほか、認知症の人による適切ではないゴミ出しを理由としたトラブルを回避することが可能です。
しかし、支援制度を実装するにあたっては、自治体の職員を増員することが必要となります。
加えて、支援を受けることができる条件をどう設定するか、不在の場合や、分別ができない支援対象者にはどう対応するかなど、システムの構築に大きな労力が伴います。
こうしたことも、予算や人員が足りない小規模の自治体にとって、支援を行うハードルとなっていると考えられるでしょう。
地域住民による声掛けでゴミ屋敷や孤独死を防げる
●まとめ
声掛けを行っている自治体の4割が、ゴミ屋敷をきっかけとして高齢者の不調やトラブルを発見したと回答しています。
そのうち1割は死亡した利用者を発見したケースでしたが、早期に異常を発見することで、大事に至らなかったケースも多く存在しています。
ゴミ出し支援は、こうした見守りサービスも兼ねながら、衛生環境を保持するために有効な施策だと言えるのです。
また、セルフネグレクトによるゴミ屋敷問題など、高齢者の異変にいち早く気付くためには、地域住民の力を借りることも必要不可欠です。
ゴミ出し支援をはじめとした公的な支援、住民の間で構築される見守りネットワークなどの地域による支援、この二つを両輪として、高齢者が安心して暮らせる社会を作ることが、今後求められていくと考えられるでしょう。
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