片付けられないと悩んでいる人の原因を特定、少しでもこの問題の改善の力になればと思います。
アメリカでもゴミ屋敷!?近代の社会的問題
実は同様の問題がアメリカでも発生していた!?
Hoardingはホーディング障害、強迫性ホーディングと訳され、病的に何かをため込んでしまい、
それによりさまざまなトラブルを起こしてしまう精神疾患のひとつとして認識されています。
実際に、この問題を病気のひとつとして考えられており、
薬物療法などの対策が研究され始めています。

ゴミ屋敷に住む人は心の病気かも
ゴミ屋敷化が止められない人は、その背景に心のトラブルが隠れている場合があります。
部屋が汚れても片付ける気力がわいてこなかったりする場合、
どんな病気が考えられるのでしょうか。
怠惰が理由とはかぎらない
『部屋が汚い人=怠惰な人』というイメージがありますが、
家がゴミ屋敷化するのは性格的な問題だけとは限りません。
ゴミ屋敷に住む人の中には、住民が抱えている心の問題が片付けを妨げている場合も多いのです。
どのような問題があるのかは、片付けに対する姿勢で見当を付けてみましょう。
まず、どんなに汚れていても片付ける気力が湧いてこない人、何事にも無気力な人はうつ病が考えられます。
やる気や時間は十分あるのに片付けられない人は、発達障害が原因かもしれません。
また、高齢者なら認知症の疑いもあるでしょう。
ゴミ屋敷の住民がこのようなトラブルを抱えている場合、どんなに几帳面な人でも、片付けは困難になります。
発達障害が原因
発達障害を発症している人は、片付けが苦手です。
とくに、『ADHD(注意欠陥・多動性障害)やADD(注意欠陥障害)の特性を持つ人は、
空間認知が困難で、何をどのように片付けたらよいかわからなくなります。
このほか、発達障害の特徴として挙げられるものは以下のとおりです。
- 衝動的
- 注意力散漫
- 集中力が無い
- 多動
発達障害の人は、片付けに計画性がなかったり、あちこちに気が散ったりで片付けが終わりません。
無駄な動きが多いため、時間をかけたわりにはどこも「結局どこも片付かなかった」というケースは多いでしょう。
発達障害は、神経伝達物質が安定して機能せず、脳内の情報のやりとりがうまくいかないことが原因と考えられます。
発達障害が原因で片付けできない場合は、本人の努力ややる気だけで状況を改善することは困難です。
心理的な問題を抱えている可能性もある
そもそも片付けようという気力が湧いてこない人は、うつ病を患っているのかもしれません。
「片付けたくない」「面倒くさい」と考えることは、誰にでもあります。
しかしゴミ屋敷レベルになっても片付けに取り掛かれない人は、精神状態が安定しているとは言えないでしょう。
一般的に、うつ病には次のような症状があると言われます。
- 無気力
- 倦怠感
- 疲労感
汚い部屋は、精神的にも大きなダメージを与えます。
部屋にいるだけで『片付けさえできない自分』を突き付けられるため、「自分はダメな人間だ」と考えがちになるのです。
『部屋が汚くなる→無気力になる→部屋が汚くなる』の無限ループにはまりやすく、ゴミ屋敷化を食い止めることができません。
また、現在はコロナ渦中でもあるためコロナによる不安からうつ病になる方も少なくないようです。
コロナ渦中でのゴミ屋敷についてまとめた記事もあります。
緊急事態宣言下で増えるゴミ屋敷!?ストレスで気が付いた時には…。
心理学分野でも注目される溜め込み症
溜め込み症について詳しく紹介します。
物を捨てられない心の病気
溜め込み症とは、物への執着が強く、捨てることに強い抵抗を感じる病気です。
執着する物は人によって異なりますが、新聞、雑誌、チラシ、空き箱など無料だったり安価だったりと入手しやすい物が多いようです。
なかには犬や猫を溜め込みの対象とする人もおり、こうした人は何十匹もの動物を囲い込みます。
溜め込み症の人は、どんなに物が増えても捨てることができません。
他人から見ればただのゴミでしかない物でも所有したいと思ってしまうため、
ガラクタが家を浸食し、ゴミ屋敷と化してしまうのです。
収集家と溜め込み症の違いは、入手した物の扱い方で分かります。
収集家は集めた物を大切に保管します。
ところが溜め込み症の人は入手した時点で満足してしまうため、大切に保管することはありません。
周囲に集めた物を積み上げていくだけのため、手に取って眺めたり楽しんだりする収集家とは全く違うと言えるでしょう。
精神疾患の一つと定義される
溜め込み症は精神疾患の1カテゴリーとして定義されています。診断基準は次を確認してください。
- 認知症、強迫性障害、発達障害が無い
- 社会生活に支障をきたすほど溜め込み、物を整理できない
多くの場合、溜め込み症を患う人はもともと10~20代で症状のあった人です。再発するきっかけは様々ですが、親しい人との死別など、心にダメージを受けた時に再発しやすいと考えられます。
改善には治療が必要
溜め込みの衝動を抑えるには、医師にカウンセリングを受けなければなりません。
心理療法によって不合理な行動や考え方を修正できなければ、ゴミ屋敷はいつまでたっても片付かないでしょう。
ところが、溜め込み症を患っている人の多くは、「溜め込み症である」という自覚がありません。病院を訪れるのは病状が悪化し、『家族らに説得されてしぶしぶ』というケースがほとんどです。この場合症状はかなりエスカレートしており、完治までには長い時間がかかるでしょう。
溜め込み症は症状が軽いうちからのカウンセリングが望ましいとされます。自分自身に思い当たる点のある人や、家族の様子がおかしいと感じている人は、早めに専門医に相談することをおすすめします。
他にも考えられる病気
それぞれについて詳しく見てみましょう。
セルフネグレクト
セルフネグレクトとは、自分自身を全く顧みなくなることです。
全てにおいて自暴自棄になってしまうため、風呂、食事、着替え、掃除などあらゆることがおろそかになります。
このような人は、家がゴミだらけでも、悪臭が漂っていても気になりません。
第三者の介入が困難なため、ゴミ屋敷化は止められないでしょう。
セルフネグレクトになってしまう原因は個人によって異なりますが、
多くの場合、社会からの孤立、人間関係での孤独など『寂しさ』が原因です。
世代的に見ると、社会と切り離されてしまう高齢者が多いですが、
近年は孤独な若者がセルフネグレクトになるケースも散見されています。
認知症
ゴミ屋敷の住人が高齢者の場合は、認知症により片付けできなくなっているのかもしれません。
認知症とは、脳の働きの低下を原因とする諸症状を指します。
人によって現れる症状は異なりますが、一般的なものとしては次のような症状があります。
- 記憶障害
- 判断力・理解力の低下
- 見当識障害
- 実行機能障害
これらの症状を複合的に発症すれば、片付け方がわからなかったり、ゴミ出しの方法を忘れたりしてしまうでしょう。
実行機能障害があれば、今までできていた事もできなくなるため、基本的な整理整頓さえ困難です。
実際高齢者が高齢者の世話をするという「老老介護」が普通となってきている日本ではこのような問題が起きがちです。
老老介護についてまとめた記事もあります。
統合失調症
統合失調症とは、様々な精神疾患が複合して発症する症候群です。
症状としては、幻覚や妄想がある『陽性症状』、
感情が平板化したり意欲が低下したりする『陰性症状』、
物忘れや集中力が無くなる『軽度の認知機能障害』があります。
統合失調症を発症している人は、家を片付け、整然と保つことは困難です。
症状の改善には、専門医を受診し、薬物療法とリハビリテーションを平行して行わなければならないでしょう。
ゴミ屋敷を改善する方法とは?
原因を特定し治療する
精神疾患には様々なものがあり、個人での判断は困難です。
当事者は異変に気付いていないこともあるため、
まずは気になる症状に気付いた人が精神科や心療内科への受診を進めましょう。
治療は大きく分けて『認知行動療法』『薬物療法』があります。
まず認知行動療法は、うつ病、強迫性障害、不安障害などの精神疾患に適用される治療法です。
この治療を受けることで、誤った認知や行動を修正し、ストレスを軽減できます。
即効性には欠けますが、原因そのものを治療するため、再発しにくいのがメリットです。
一方、薬物療法では抗うつ薬や抗不安薬などを使用します。
効果を得るには継続的な服用が必須ですが、即効性があるのがメリットです。
いずれの治療法を取るかは病状により異なりますが、医師の指示に従って治療に向かうことで病状改善を期待できるでしょう。
周囲の人やプロの手助けも必要
精神疾患が原因で片付けできない人は、個人だけゴミ屋敷を改善するのは困難です。
片付けには友人や家族に参加してもらい、側から助言を受けるのがベターでしょう。
また、どうしても手に負えないゴミ屋敷なら、プロの片付け業者に依頼するという方法もあります。
お金はかかりますが、片付かない家で悶々としているよりは、プロに任せた方がよいかもしれません。
まとめ
ゴミ屋敷化の原因は性格ではなく心の問題かもしれません。
とはいえ、精神疾患には様々な種類があり、素人での判断は困難です。
おかしいと感じていたり、他人から指摘されたりしたことのある人は、一度精神科を訪ねてみてはいかがでしょうか。
病名がはっきりすれば、明確な治療法も見つかるため、不安定な気持ちから抜け出すことができます。
精神状態が良くなれば、ゴミ屋敷も変わります。
片付けに対する気力が蘇り、片付けを具体的に考えられるようになるでしょう。
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